福岡高等裁判所 昭和24年(つ)22号 判決 1950年3月29日
被告人
橘幸男
主文
本件控訴はいずれも之を棄却する。
理由
弁護人石橋重太郞の控訴趣意第一点(前略)について、
原判決に表示の生年月日は誤りであるとしても右の誤りは決して刑事訴訟法第三百七十九條に所謂「判決に影響を及ぼすこと明かな訴訟手続法令の違反」とは謂へない。なんとなれば論旨に言うように刑事訴訟規則第五十六條第一項には裁判書には裁判を受ける者の年齢をも記載するよう命じてはいるが、それは被告人本人の特定と併せて被告人が少年なりや否やを明確にし以て少年法の適用ありや否やを明にせんとする主旨に出でたものであること明であるから本件の場合の如く生年月日認定の錯誤が被告人本人の特定にも少年法を適用すべきや否やの点にも少しの影響もない場合には各規則の違反は決して判決に影響を及ぼすものとは言い得ないからである。